チャーリーズエンゼルパイ



子豚、ひろき、そして、てぃーだの三人は、丁度廊下の角を曲がってこちらへ走って来たシチローとかおりに合流し、一緒に走り出した。


「ちょっとシチロー!
アタシを見捨てといて、何よそのザマはっ!」


てぃーだに見張りの相手をさせて逃げて行ったというのに、他の見張りに見つかって追いかけられているシチローの体たらくぶりに、てぃーだからのキツイ一言が飛ぶ。


「そうですよね!このオジサンと逃げてたら、すぐに見張りに見つかっちゃったんですよ!」


「オジサンじゃ無いっ!てか、君が下に降りようなんて言うからだろっ!」


「だって、ネズミがいたんだから仕方ないでしょ!」


「知るかっ!そんなもん!」


「ちょっと!ケンカなんかしてないで、この見張りをなんとかしてよ!」


ひろきの言う通りである。


こんな所で仲間割れをしている場合では無い。
ここまで来たら、追いすがる見張り達を蹴散らし、かおりを連れて施設から逃げ出すしか無いだろう。


しかし、見張りも相当のしつこさである。


「いいか~!あの娘だけは、なんとしても逃がすなよ!」


どうやら見張り達には、かおりをけっして逃がしてはならない特別な事情があるらしい。


「どうするの、シチロー!コレじゃキリが無いわ!」


さっきから同じ所をグルグルと走り回っているだけだ。もう少し見張り達と距離を離せば建物の外へ出る事も可能なのだが……



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