チャーリーズエンゼルパイ



「シチロー!よかったらコレ使う?」


「何でハエタタキなんて持ってるんだよ?コブちゃん……
それより、ひろきが持ってるそれ貸してくれよ!」


「えっ、コレ?」


子豚が持っていたハエタタキに対して、ひろきが持っていたのはスプレー式の殺虫剤であった。


いずれも、不衛生な施設の部屋に時折現れるゴキブリを退治する為の必需品だった物だ。


「ハイ。でも、こんなの何に使うの?」


走りながら、ひろきが放り投げた殺虫剤をキャッチすると、シチローはニンマリと笑って答えるのだった。


「これはね~~こうやって使うんだよ~~♪」


殺虫剤を右手に持ち、もう一方の手をポケットに突っ込んだシチロー。


そして、そのポケットから出したシチローの左手には、銀色に輝くジッポーのライターが握られていた。



ボオォォォオオ~~!



噴射された可燃性の殺虫剤がライターの火に引火し、簡易的な火炎放射器になる。


「うわっっ!」


その炎を見張り達に向けると、さすがの見張り達も足を止めた。


よい子は決してマネをしないように。



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