チャーリーズエンゼルパイ



「あたしは、お母さんが好き!……お説教は長いし、いちいち細かい事がうるさいって思う事もあるけど…それでもお母さんの事が好き!

それに、お父さんだって好きだよ!……お酒ばっかり飲んで、ちょっとだらしないところもあるけど、ニンジン食べられない子供みたいなお父さんだけど……それでもお父さんの事好きだよ!

どっちかを選ぶなんて、あたしに出来るワケ無いじゃん!
喧嘩したっていい!いつも仲良く無くたっていいよ!だから、また三人で暮らしていこうよ!!」




あの、シチロー達の前では無邪気で明るい女子高生だったかおりが、震えるような、しかし力強い声を張り上げて朝唐と和子に訴えていた。


そして、瞳にいっぱい涙を溜めたその表情で発せられる彼女の切なる願いは、二人の心に深く響いた。


静まり返る礼拝堂の中で朝唐と和子は言葉を失い、我が娘かおりのかつて見た事も無い程真剣な表情を、暫くぼんやりと見つめていた……



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