チャーリーズエンゼルパイ



朝唐と和子の二人。


暫くの静寂の後、最初に言葉を発したのは、朝唐の方だった。


「なぁ、和子……知らないうちに“俺達の娘”は、ずいぶんしっかりした娘に成長していたんだなぁ」


「ホントね。まるで私達親と子供がひっくり返っちゃったみたい」」


そんな言葉を交わす二人の表情は、さっきまでいがみ合っていたのがまるで嘘であったかのような、肩の力の抜けた穏やかなものであった。


娘の親権を取り合っていた二人が、自らも気付かぬうちにかおりの事を
“俺達の娘”私達の娘”と呼んでいた。


「かおり、こっちにいらっしゃい♪また、家族三人でやり直しましょう」


「お母さん……」


「我が家で家族三人で飯を食うのも久しぶりだな♪
和子、ニンジンはあまり入れないでくれよ♪」


「フフフッ……」


朝唐と和子は優しく微笑み、かおりは泣いているのか笑っているのかわからない表情で、家族三人は肩を寄せ合いしっかりと抱き合った。



< 133 / 144 >

この作品をシェア

pagetop