チャーリーズエンゼルパイ
森永探偵事務所の代表であるシチローとしては、飲み会より仕事を優先させるのは当然の事と言えるが
この時シチローが
「あの女性を放っておけるかっ!」
と声を上げたのは、訪問者の女性の様子が尋常でなかった事も理由の一つだった。
訪問者は、おおよそ三十代後半から四十代位の年齢と思われる女性。
“尋常でない様子”と言ったのは、その女性がこの場所に来るまでに、降りしきる雨の中、傘もささずにびしょ濡れでやって来たという事だ。
玄関先に佇むその女性の、髪から、袖から、そしてスカートの裾からは、雨の雫が止めどなく滴り落ちている。
「ティダ、洗面所からタオル持って来て!」
「わかったわ!」
我に返ったように、てぃーだが洗面所へと走った。
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