チャーリーズエンゼルパイ



「どうしたんです、こんなにびしょ濡れになって!
一体、何があったんですか!」


シチローが問いただしたが、訪問者の女性は黙ったままであった。


よく見ると、その肩は小刻みに震えていた。


(泣いているのか?この女性は……)



てぃーだから受け取ったタオルを顔に当て、立ち尽くす女性の訪問者の表情はうかがい知れない。


シチローはその女性に向かって再び、今度は穏やかな口調で話し掛けた。


「黙っていては分かりませんよ。さあ、何があったのか我々に話してもらえませんか?」


既に、飲み会が潰れた無念さはどこかに飛んでしまい、子豚も、ひろきも、この謎の訪問者の事を注視していた。


四人で訪問者の前に立ち、神妙な顔のまま彼女の言葉を待つ。





やがて、女性の口からは、短い声が洩れた。








「……………か…………………………………」



「か?」



ただ、一音だけ発せられた訪問者の声に、四人は顔を見合わせ、首を傾げた。


「この状況で『か』のつく依頼って、一体何なんだ?」


「『かさ』貸して欲しいんじゃないの?」


「それは絶対ないから!ひろき!」


「う~ん……私『カツ丼』しか思い浮かばないわ……」


「そんな依頼あるわけね~だろっ!」



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