チャーリーズエンゼルパイ



「とにかく、落ち着いて!こちらへどうぞ。
え~と……
すみません、まだあなたのお名前を聞いていなかったですね……」


何はともあれ、この女性から詳しい話を聞いてみない事には始まらない。


シチローは、訪問者の女性をリビングへと招いた。



「朝田です……朝田和子(あさだ かずこ)と申します……あの、これではお部屋が水浸しになってしまいますわ……」


朝田和子は、自分の衣服から滴り落ちる水滴を気にして、リビングへ上がるのを躊躇していた。


「なに、あとでウチのエージェントが掃除しますから、どうかお気になさらないで下さい♪」


シチローのその言葉に、子豚とひろきが小声で囁き合う。


「シチロー、あとで私達に掃除させるつもりよ……」


「自分でやればいいのにね……」


子豚達の文句が聴こえたのか、シチローは、わざとらしく咳き込んで、二人を横目で伺っていた。



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