チャーリーズエンゼルパイ
募る不安を抑え切れない和子を気遣って、シチローは自分の胸を拳でポンと叩き、笑ってみせた。
「なに、和子さん♪
心配いりませんよ!あなたの娘、かおりさんは我々森永探偵事務所が必ずや助け出してみせます!……なんせウチには、三人の優秀なエージェントが在籍していますから♪」
ところが、そう言ってシチローが指差して紹介した、その“優秀なエージェント”はと言えば……
「ちょっと、ひろき!
それ、私が冷蔵庫に入れといたプリンじゃないのよっ!」
「だって~食べたかったんだもん♪冷蔵庫にもう一個あったからいいでしょ♪」
「ダメよ!アレはアレ!種類が違うプリンなんだから!今夜はそれを食べようと楽しみにしてたのに~っ!」
「ちゃんと名前書いておかないからだよ♪コブちゃん♪」
「プリンに名前なんか書くかああぁぁ~っ!」
笑みを浮かべていた、シチローの顔が歪む。
「あの……優秀なエージェントというのは……あそこの……」
「いや、あの……たぶん優秀だと思うんですけどね……」
不安を拭い去るつもりが、逆に不安を煽ってしまったシチローであった。
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