チャーリーズエンゼルパイ
民家などほとんど無い、山間の僻地にその建物はあった。
建物の周りは、不気味な真っ黒の塀で囲まれ……そして、その塀の上には、どこから集まって来たのか、何百という鴉が一列にびっしりと停まっている。
「ここが鴉信教の教団施設か……ヤバそうな雰囲気がムンムンするな……」
「入口はどこなのかしら?」
中へ入る門を探す為に、車を塀に沿って走らせると、まもなく正門らしいものが見えてきた。
黒い修行服を着た信者らしき人間が二人、門の前に立っていて、シチローの運転する車が近付くと、その信者と目が合った。
信者の一人が無表情のまま、シチローに話し掛ける。
「あなた達は?」
「オイラ達、今日からここでお世話になる事になりました♪」
「もしかして、入信希望の方?」
信者は、怪訝な顔付きで車の中を覗き込む。
普通、この教団に入信してくる人間は、人生に絶望し『自分は不幸の一番星』みたいな顔をしてやって来るものだ。
それが、この連中ときたら、まるで楽しい遠足にでも来たみたいな顔をしている……唯一、神妙な顔をしているのは後部座席に乗っている女性一人位なものである。
「あっ、ちゃんと紹介も貰ってますよ!
これ、教祖さんの名刺です♪」
「なにっ!教祖様の!」
シチローが朝唐の名刺を持っていると知って、信者の態度が変わった。
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