チャーリーズエンゼルパイ



その日の施設は、いつもと様子が違っていた。


「なんか、今日はみんな慌ただしく動き回ってるわね」


廊下を忙しそうに行き来する信者。


いつもより念入りに掃除に精を出す信者。


不思議に思ったシチローは、傍に居た信者の一人にその理由を尋ねた。


「あの……今日は何か特別な催しでもあるんですか?」


「えっ、アナタ達知らないんですか…今日は、朝唐教祖様がお見えになる日ですよ!」


興奮に満ちた表情でそう答える信者。


月に一度、あるいは二か月に一度位、朝唐はこの施設にやって来て三日間程滞在する。


何しろ、朝唐 将宙は鴉信教の信者にしてみれば“神”と言っても過言ではない存在なのだ。
そう考えれば、この信者の興奮ぶりも施設内の騒ぎも納得出来る。


そして、朝唐が来た事により、チャリパイにとって願ってもないチャンスが訪れたのだ。



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