Double Persondlity

「その男の正体知ってるの？この男はヤヅキなんていう名前じゃないのよ。あんたは騙されてるんだからね…本当の名前は名田っていうの。そいつの本性は私を…私の事を…」



「………？」



「私はそいつの事はずっと忘れていた…はずなのに……忘れて別の人生を楽しんでいたのに……結婚まで決めて…なのにあんたが余計な事喋るから…私はその男に全てを目茶苦茶にされた。将来まで、ぶち壊されたのよ！全部あんたが悪いのよ。もう絶対に許さない」



涙目で言った有寿は
自分の持っていたバッグの中から小型ナイフを取り出して
朱里と夜月に向けたのだ。



有寿の目は本気そのもので、明らかに朱里を刺そうと狙っていた。



運が悪く、人通りの少ない
この場所には
誰も来ないくらい静か。