私と先生の365
家に帰り、お父さんは海外出張用の、大きな鞄を持ち車に積む。
そんな姿を見ると、もうすぐ行くって分かるじゃん。
お姉ちゃんが大学行ってから、2人で過ごしてきた。だから余計寂しくって‥。
ひとりはヤダよ‥。本当は、お父さんといたい。
父:「そうだ、奈緒。明日の事だが、これ高木君ん所の地図だ。それから―‥、奈緒!?何泣いてるんだ。はっはっは!」
ポンポンと大きなお父さんの手が頭を優しく叩く。
地面にポタポタと落ちていく私の涙を見て、優しい声で、
父:「1年なんてあっという間さ…。…やっぱり奈緒は、まだまだ子供だ。奈緒をひとり暮らしさせなくて良かったよ‥。高木君にもよろしくな。」
行ってきますと最後に言って、車を走らせた。
涙で、声が出なかったけれど、走り去って行くお父さんの車の背中に向かって、いってらっしゃいって。