私と先生の365
「…先生は、生きてるじゃないですか。」
目の前に、いるじゃないですか。
高木先生:「…生きてたな…。」
フッとまた悲しそうに微笑む先生。
そんな先生の目から目を逸らせなかった。
一瞬でも目を逸らせば何だか先生が消えちゃいそうな気がしたから。
そっと大きな先生の右手が、私の左頬を包む。
高木先生:「成雪さんが俺を見付けて、俺は助かった。…親は俺を殺したつもりで、何を思ってか自宅で自殺。」
フッと先生の手が私の頬から離れる。
そんなことがこの世に起こりうるの?
「お父さんが先生を見付けたってその時私は先生に会えたの?」
高木先生:「吉崎は…生まれてないんじゃないか?成雪さんは独りでこの場所に来ていたみたいだ。俺が…4才くらいの話さ。」
フウッと、海の方へ向き先生は遠い先を見ていた。
高木先生:「俺もあんま、覚えてないし、安西先生に出会うまではずっと独りで生きてたつもりだった。…別にもう昔のことだからもういいんだが。」