私と先生の365
[305 安西秀樹]
病室の扉の横に、そう書かれた白いプレート。
安西 秀樹(アンザイ ヒデキ)先生。
高木先生『安西先生は、末期のガンなんだ。ずっと入院中さ。』
さっき車を降りた時の高木先生の言葉を思い出す。
ガン―…。
お母さんと…同じ。
カラカラッと丁寧にドアを開け、「失礼します。」と一礼する高木先生に、私は緊張気味に慌てながら、先生と同じように「失礼します!」とペコッと頭を下げた。
個室部屋で、開けられた窓から吹く風にヒラヒラと揺れ動くカーテンの側のベッドに、チョコンと座り、優しく微笑む老人。
この人が、安西先生。
痩せて見えるのは病気のせい?
だけど優しい笑顔が、私達を招く。
しわしわの目元に細長の眼鏡、薄い白髪、白く少しだけ伸びた髭をそっと撫でている。
安西先生:「久しぶりだねぇ、恭。」
近くに行くと更に、くしゃっと笑う安西先生の笑顔とその言葉に、高木先生が無邪気な笑顔を見せた。
高木先生のその顔、見るの2回目。