私と先生の365



日が沈み空は暗く、星が輝き始める。


高木先生:「悪かったな。退屈だっただろう?」


帰る途中、信号が赤になり、止まる車の中で、右手をハンドルの上に置きながら高木先生が私に向かってそう聞く。


「全然!逆に楽しかったです!」


本当に…


私の知らない高木先生を隣で聞けて、ただ嬉しくって嬉しくて、胸がいっぱいだった。


自然と2人の会話を思い出し、フフッと笑ってしまう。


高木先生:「…何笑ってんだよ?」


高木先生の左手がキュッと私の右頬を摘む。


「いへへ!(いてて)」


そんな私にハハッと笑って前の信号が青に変わり、パッと先生の手が離れる。


右頬を摩りながら、高木先生を見てニヤつく。


「…でも、高木先生ってヤンチャだったんですね!(笑)」


高木先生:「な!おま、吉崎!俺は真面目だったぞ!」


少し焦る高木先生。


「"本当に手のかかった奴"だって安西先生が言ってたよ?」



高木先生:「…。」


黙り込む高木先生が面白くって笑っちゃう。


「あはは!」



そう笑っていると、車が山道に差し掛かった時だった。



車が左端に寄り、カチカチとハザードが光り停車する。


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