ハルオレ☆ -前篇-
「ね?行こうよ、遥!」
彼方はそう言って俺の手をひいた。
俺はというとあまりの恐怖感に見舞われており、ただただ彼方にひきづられるがままだった。
「おい、菅谷達!」
俺が彼方に連れられて教室を出ようとすると、誰かに呼び止められた。
「風間!」
声をかけてきたのは、風間だった。
風間は、俺達の足が止まると走って近づいてきた。
「なぁ、今からどこか行くのか!?」
「うん、ちょっと購買部に…。」
彼方がそう答えると、風間が少し何かを考えたように目線をそらした。
そして、再び俺達の方を向いた瞬間、風間は両手で彼方の両肩をガシッとつかんだ。
「実はさ!どうしてもお願いしたいことがあるんだ!引き受けてくれないか!」
「え!?何?」
あまりに真剣な風間の眼差しに彼方が戸惑っている。しかも、なぜか彼方の頬が赤く染まっている。
なんでだ?
「あ、あのさ。実はさ、これから宇宙を探しに行かなくちゃいけなくなったんだよ。」
「宇宙?晃月のこと?」
「あ、ああ。いつもなら教室を出ていってもすぐ戻るんだけど、今日はまだ戻って来てないんだよ。」
宇宙って、あのカリスマモデルだよな。
そういえば、朝教室を出たっきり戻ってきてないな。
「愛穂に頼まれたことなんだが、当の愛穂は昼休みに委員会があるらしく、俺はこれから生徒会の用事があるんだよ。」
「ああ、それで僕たちに晃月探しをしてほしいと?」
彼方がそう聞くと、風間がうんと力強くうなづいた。