ハルオレ☆ -前篇-
「それはまだ遠山君には話せません。」
「え?なんで?」
「話せないというか、まだ西川もその件は捜査中なんですよ。だから、私の中で事実が明らかにならない以上、途中結果は秘密なんです。」
西川さんがにっこり笑ったが、逆に俺はその意味不明さにイラツとした。
「秘密ならなんで俺にそんなこと言うんだよ?」
秘密なら最初から俺に話をふる必要ないじゃないか。
何を考えてるんだ?西川さんは…。
すると、西川さんは歩いている俺の目の前に立った。
俺と西川さんの足が止まると、彼女は俺をじっと見た。
「いや、遠山君には知ってほしかったんです。あれが夢ではなく現実だということ。」
「え?」
夢じゃなくて現実だと知ってほしい?
教師と男子生徒の恋愛ドラマ?的な事がらを?
そ れ は な ん の た め に?
「ただそれだけのことです☆」
西川さんは、俺ににっこり笑うとくるりと回転して方向転換し、また廊下を歩きだした。
「ちょっと、待って、西川さん!なんでだよ?なんで俺にそのことを…?」
俺が叫ぶように言うと、西川さんの足が止まった。
そして、西川さんはそのままつぶやくように口開く。
「だって…そう受け止められる覚悟がないと、今後あの蘭藤荘でやっていけませんよ。」
え?(゚д゚;)
蘭藤荘で…やっていけない?
西川さんのその静かに言い放った言葉に俺はドキッとした。
すると西川さんは、またくるりと振り返り、俺ににっこり笑った。