ハルオレ☆ -前篇-
「遠山君のバカ!」
西川さんは、プクッとほっぺをふくらました。
「もう!だから違うって!で、何?観奈がどうかしたの?」
俺がそう言うと西川さんのふくらんだほっぺがへこんだ。
「あぅ、そうでしたね。危うく自分を見失う所でした。まったく遠山君が変に誤解させるような顔をするからですわ!」
俺は悪くない。俺は悪くない。俺は絶対に悪くない。
と俺は心の中で唱えた。
「まぁ、観奈が遠山君のタイプだと言えど、ねらった所で腹黒王子のお墨付きなので無理なんですけどね。」
「お墨付き?」
俺は西川さんの言葉に首をかしげた。
「はい。遠山君もすでにお気づきだとは思いますが、腹黒王子って観奈をやたらと特別扱いしているんですよ」
彼方が、観奈を特別扱い?
ああ、前にそう思ったことがあったな。
「う、うん…。まぁ、たしかに。」
「それがなんでだろうって思いませんか?」
続くように西川さんが俺に質問してきた。
それがなぜか…
そういえば、なんでだろうな。
やっぱり幼馴染みだからかな?
「まぁ、彼方は俺たちには厳しいけど…観奈には優しいというか、なんか違うとは思った。それがなぜかはわからないけど…でもそれは幼馴染みだからじゃないの?」
俺が答えると、西川さんが首を横に振った。
「いいえ。幼馴染みにしてはおかしいんですよ。」
「え?」
幼馴染みにしては、おかしい?
それどういうことなんだ?