ハルオレ☆ -前篇-
「ヤマト兄、どうしたの?こんな時間に…」
するとヤマト兄はニッコリ笑い、持っていたビニール袋から何かを探すように手を入れた。
「ほら、これ…」
やがて、何かを見つけたのか、ヤマト兄は俺に紙袋を渡してきた。
紙袋は少し重みがあり、ほのかに温かさも感じた。
「え?何、これ?」
俺が不思議そうに見上げるとヤマト兄が口開く。
「さっきコンビニで買ってきた肉まん。お前におすそわけだよ。」
「肉まん?え?もらっていいの?ありがとう」
俺が嬉しそうに笑うとなぜかヤマト兄が頬を赤めていた。
「ははは、喜んでくれてよかった。買ってきて正解だったな。」
ヤマト兄、差し入れをわざわざ持ってきてくれるなんて優しいな。
俺が肉まんの入った袋を抱えながら和んでいると、ヤマト兄が俺の部屋の奥を覗き込んだ。
「あれ?もしかして、他に誰かいるのか?」
俺はハッとして後ろを振り返った。
そうだ。
今、俺の部屋には西川さんがいるんだった。
「早瀬先生☆こんばんわ〜ですっ」
西川さんがヒョコッと顔を出すように俺の後ろから現れた。
「あれ!?西川さん…?」
ヤマト兄は西川さんの姿に驚くが、その後なぜか沈黙となった。
そしてしばらく間が過ぎると、突然ヤマト兄が俺をキッとにらみつけた。
「…は、遥!お前、だ、だめじゃないか。こ、こんな時間に女の子を部屋に入れちゃ…」
俺にそう怒りだしたヤマト兄だが、なぜか動揺するように身震いをしている。