ハルオレ☆ -前篇-
「ああああ…お、俺は、次に遥のお袋さんに会ったら、なんて顔をして会ったらいいんだ…」
ヤマト兄は、額に手をあてて、崩れるように扉にもたれかかった。
いやいやいや!
ヤマト兄!冷静に考えて!!
俺は不純なんかじゃありません!
これは完全に誤解ですって!!
そんでもって考えすぎですってばーーーーー!!
「ヤ、ヤマト兄!!!ち、違うんだ!!俺は西川さんとは何も…」
俺はとにかく誤解を解かなくてはと叫んだ、その時。
「お〜〜〜い!ヤマト〜〜!」
俺の部屋の外から、ヤマト兄を呼ぶ声が聞こえた。
俺たちがハッとすると、ヤマト兄の隣に人影が現れる。
「ほらぁ〜やっぱりあったぜ、俺の鍵。」
「大樹…。」
そこに現れたのは、ヤマト兄の幼馴染み、いや恋人の大樹さんだった。
「だ、大樹さん?」
「キャッ!こんばんわ〜大樹さん☆」
「…よぉ!遥!…と、くるみちゃん。」
大樹さんは、俺と西川さんがいることに気付くと笑顔であいさつをしてくれた。
大樹さん、意外にも西川さんと知り合いなんだな…。
「大樹、お前別にここまで来なくても…」
大樹さんが現れると、今まで錯乱してたヤマト兄が元に戻った。
「え。別にいいじゃん。どうせ、この後すぐ家出るし」
「それはそうだけど…で、鍵どこにあったんだ?」
ヤマト兄が大樹さんにそう尋ねると、大樹さんはニッと笑った。
「ん?ああ。実はな〜。便所の床に落ちてた。俺、最中に落としてたらしいわ。」