ハルオレ☆ -前篇-


「うふふ。早瀬先生と大樹さんが手に持ってるスーパーの袋を見ればわかります。これから大樹さんの家に行って、早瀬先生がそこで手作り料理をふりまわれるんですよね。キャッ」







キャッって…。
おいおいおい(ToT)







「正解!あいかわらず、くるみちゃんは鋭いね〜。」








何も知らない大樹さんが驚いて笑っている。








「さすがだね。西川さん…その盗聴力…」








俺が西川さんに限りなく小声で耳打ちすると、西川さんは笑顔で俺を見た。








「え?遠山君。何か申されまして?」








「いえ、何もないです。」







頼むから俺をヒヤヒヤさせないでくれよ。トホホ。







「でもめずらしいですね。大樹さんのお家に行くなんて…」







西川さんが不思議そうにそう聞くと、大樹さんが口を開いた。







「いやぁ。今日から3日間親父とお袋が旅行でさぁ。妹も大学のサークルの合宿らしくて誰もいないんだよ。だから、それならヤマトに来てもらってご飯を作ってもらいますかって話になったんだ。な、ヤマト!」







「な、じゃねーよ!」








ヤマト兄は相変わらず不機嫌そうだ。







「あれ?まだ許してくれないの?」







「だから許さないってさっきも言っただろ!」








二人のやり取りを見ながら、密かに西川さんは一人でキャーキャー騒いでいた。








「…ケ、ケンカですか?」







「う〜ん。まぁ、今回は俺が悪かったんだけどね。」








俺が聞くと、すぐに大樹さんが答えてくれた。



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