ハルオレ☆ -前篇-
「恋愛したことないから、本やメディアにあるような綺麗な男女の関係しか知らない。そうなんだろ?」
彼方にさらにそう指摘されて、俺は動揺すると共に心臓の音が徐々に早くなるのを感じ始めていた。
俺が彼方の言葉に動揺したのには、ちゃんとした理由があった。
「な、ななななな…。そ、そんなわけ…」
そんなわけ…。
あるよチクショ━(゜Д゜)━ッ!!
_| ̄|○ ガクッ
そして、俺は心の中で絶叫と挫折をするのであった。
そう、なぜなら彼方の言うとおり。
俺は、今まで実際に異性を特別な気持ちで好きになったこと。
恋愛をしたことはない。
その原因は、恋愛における貴重な思春期を言葉の通じない海外で過ごしたことにあると思う。
俺が向こうの言葉を話せるようになったころは、仲間の絆が強くなっていて、周りの異性を恋愛対象として見れなくなっていた。
で、気付いたら5年の月日が経過して、俺は今日本にいる。
たしかに小学生の時、気になる女の子がいたと言えばいたかもしれないが、それが完全に恋愛に発展することはなかった。
だから、女の子を好きになって、デートしたことも、付き合ったことも、ましてやその先も俺にとっては未知の世界となっている。
そう、俺は恋愛経験まったくの0。
本当の恋愛がどんなものかなんてわかるわけもない。
だから、それを知らないからこそ、彼方の言うこと全てが信じられないし、許せない。
きっと俺がここまで頑固に反論する理由は、だからなんだと思う。