ハルオレ☆ -前篇-
part7 Kiss
「ああ、そうだ。すっかり話がそれてしまったけど…」
俺が廃人になりかけている間に、彼方が何かを思いだして口を開いた。
「ちなみに僕と観奈のことは他言無用だからね。もしも口が滑るようなことがあれば、真っ先に酸素が吸えなくなるからね。」
そうだった。
元はと言えば、彼方と観奈の話だったのに、いつの間にか俺の恋愛経験のない話で盛り上がっていた…。まぁ、盛り上がってたのは彼方だけだが。
っていうか、酸素が吸えなくなるって、彼方さん、あなた何をするおつもりですか?
「…。はい。肝に銘じておきます」
俺はもちろんこれ以上脅えるのを避けるため、迅速に了承させてもらった。
すると少し間をおいて、彼方が俺にゆっくりと話し始めた。
「まぁ、そうだな。機嫌もよくなったことだし、特別に教えてやるけど…。僕が観奈とする理由は、”彼女を他の誰にも渡せないから”かな?」
「え?それどういうこと?」
突然意外なことをポロッと言われて、俺は彼方を見た。
「ふふっ。能無童貞のお前にはまだわからない事かもしれないな。」
あのぉ。わざわざもっと気になるように言わないでください。ドS王子様…。
てか、もう俺のこと遥から能無童貞になってるし…。
「ちょ、それ、ますますわからないんですけど。それに俺が結局わからないなら、教えた意味ないじゃないか。」
「え?わからないなら、頭使いなよ?あ、それとも貧乳処女みたいに妄想してみたらどう?そうしたら意外に答えがわかるんじゃない?貧乳処女みたいに…ふふふっ」
彼方は思い出し笑いかの如く、またくすくす笑う。
そうとうツボにはまってるんですね。貧乳処女と能無童貞…。