ハルオレ☆ -前篇-
「そ、そんな。頭を上げてよ。」
頭を下げる未咲に俺が声をかけると、未咲がゆっくりと体を起こした。
「でも…。俺…。」
「ほら!俺の体はなんともなかったんだし。未咲君も謝ってくれたんだから、この件はもうおしまい!」
俺の笑顔でそう言うと、つられるように未咲も笑顔になった。
「それでいいんじゃない。ね?」
「遠山先輩…。ありがとうございます。」
未咲はまた俺に頭を下げ、顔を上げると安心するように息を吐いた。
「はぁ。よかった…。こうして謝れたのもキャプテンのおかげだな。あとでお礼を言わないと…。」
未咲は自分の後ろにいる希沙羅の方をに話を振ると、希沙羅もまるで自分のことのように喜んで笑みを浮かべていた。
「そういや風間のことをキャプテンと呼んでいたけど、どういう関係なの?」
ふと疑問に思って俺は未咲に問う。
「はい。俺、サッカー部に所属してるんですが、風間先輩はそのサッカー部のキャプテンなんです。」
へぇ。風間ってサッカー部のキャプテンもやってたんだ。
「俺が先輩にボールを当ててしまって悩んでいた所に相談に乗ってくださって…。そしたらキャプテンが、今日遠山先輩に謝る場を与えてくれたんです。」
さすが風間。
仲間想いだけじゃなくて、後輩想いでもあるんだな。