ハルオレ☆ -前篇-
すると彼方は、走り口気味の希沙羅の言葉に重ねて口開いた。
「ごめーん。僕にはそんな記憶はないなぁ。それは君の思い込みじゃない?」
サラリと口にした彼方だが、俺たちの周りにはとても重たい空気が流れた。
「そ、そんな…。ひどいです。僕、あなたのこと尊敬してたのに…。」
彼方の言葉がよほどショックなのか、今の彼方を受け入れれないと涙目で首を横に降った。
「そうなんだ。ありがとう。…あ、でもね…」
彼方は目にかかりそうな前髪を顔で振り払うと言葉を続けた。
「…僕、君たちの事でひとつだけすごく覚えてる事があるんだ。」
俺たちが彼方に同時に視線を向けると、彼方がまたニヤッと笑い口開いた。
「僕さ。…お前らの事、今も昔もずっと目障りでうっとうしいと思ってるよ。」
( ゚д゚)?
彼方は言葉とは正反対に、とびっきりの笑顔で笑った。
「テ、テメェ!」
未咲がカッとなって彼方に拳を向けて飛びつこうとすると、彼方は未咲の腕をいとも簡単に受け止めた。
彼方はそのまま未咲の体を近くにあった壁に押さえつけた。