ハルオレ☆ -前篇-
part5 今夜は寝かさないよ。
「晃月…。もしかして逃げる気?」
彼方の言葉は、この場を去ろうとしている宇宙の背中にグサリと突き刺さった。
すると宇宙は、ゆっくりと俺達の方を振り向いた。
「に、逃げるなんて人聞きが悪いじゃない!仕事が入ったんだからしょうがないでしょ?」
宇宙が大声をあげた途端、彼方がフゥーとため息をついた。
「僕、言い訳は嫌いなんだよね。…オカマのは特に。」
あえて『オカマのは特に』を強調しやがった!(゜ロ゜)
「言い訳って言われても本当に仕事なんだからしかたないでしょ!?それに、ちょっと待ちなさいよ!アタシはオカマじゃないわよ!ただの純粋なオトメ男子よ!男好きの…」
「それがオカマ以外のなんだっていうんだよ!?」
「アンタ何もわかってないわね!こっちの世界ではオカマとは言わないのよ!」
「そんな世界知らんわ!」
宇宙の言う『こっち世界』については、俺はまったく想像がつきませんでした。
「…って、カニャリン。そんなことより、私をどうしても出張に行かせないうもりなのかしら?」
宇宙は話のずれを戻すと、真剣な顔をして彼方を真っ直ぐ見た。
「うん!行かせるわけないでしょ☆」
彼方はその笑顔で、宇宙の真剣な表情をいとも簡単に打ち砕くのだった。