ハルオレ☆ -前篇-
part2 早瀬ヤマト
…トントン!
部屋の扉がノックされる。
「…ぁ、はい!」
反射的に遥が返事をすると、ガチャっと扉が音をたてて開く。
「入るぞ。」
低く大人びた声。
金に近い亜麻色の髪。
透き通るような青い瞳。
そんな男性が扉から顔を出す。
「引っ越しの片付けは終わったか?」
「あ、ヤマト兄。…なんとか片付けはだいたい終わった所だよ。」
遥は今まで寝転んでいた身体を起こし、ベットに座る。
「そうか。なら良かった。」
ヤマト兄と呼ばれた青年、ヤマトは安心したように微笑むと、遥の部屋の玄関に入り込む。
「思ったより綺麗に片づけてるじゃないか。」
ヤマトは部屋をグルッと見渡した。
「思ったよりっていうのは余計なんじゃない?」
「はは…それは悪かった。」
「ったく。ヤマト兄は、いつも俺のこと子供扱いするんだから。」
「何だよ。遥はまだ子供じゃないか。」
「こ、子供って!俺もう17だよ!?」
「ははは。だからそう言う所が子供なんだよ。」
「ヤマト兄ー!」
遥が怒って大声をあげると、ヤマトは笑い出した。
「あははは。ごめんごめん!俺が悪かったよ。」
「ヤマト兄こそ相変わらずだよ。俺が冗談嫌いなの知ってるくせに…」
「ほら?そういう相手こそ冗談言いたくなるものだろ?」
「ふ〜ん。あっ、そうですか!」
遥がそう言うと、どちらともなく目が合い、二人は笑った。