ハルオレ☆ -前篇-
その表情は、まさに今までの彼方の表情とは逆。
ニッと笑うその口は吊上がり、俺を見下ろしたその目は全く笑ってはいない。
その彼方の姿に恐怖を感じ、俺は逃げるように後ずさりしようとする。
だが、すでに時は遅し…。
俺はすでに扉の真横にある部屋の壁に追いやられていた。
「知っちゃった…って…な、何を?」
俺は恐る恐る目の前にいる彼方の顔を見上げるように見て、ゴクリと息を飲んだ。
と、その時。
ドン!!!!
突然、部屋に大きな音が響いた。
((((;゚Д゚))))…。
俺は壁に追い込まれたまま、体をプルプル痙攣させながら硬直した。
なぜなら、彼方が俺のすぐ後ろの壁を思い切り叩いたのだ。
というか、正確には『叩いた』というより、『殴った』といった方が正しいのだが…。
しかも叩いた彼方の手は、俺の左頬スレスレの所であった。
((((;゚Д゚))))ぬあああああ!!
い、いったい!何が!起こったんですか━━(゚д゚;)━━!!
俺が突然の事態に大きな口を開けて固まっていると、彼方がうつむいてた顔を上げ、ニッコリと笑った。
「君ってホントめんどくさいね。口でわざわざ言わなきゃわからない?」
その笑顔で口開いた彼方は、俺の知っている彼方ではなかった。