バレンタインシンデレラ
何言ってんの…。
私はため息をついた。
そんなこと言われたって危機感ゼロ。
私は冬月くんと違って平々凡々な超一般的もしくはそれ以下の女子高生だもん。
見つけられるわけないよ。

(lovefoxxx : 私のことなんて絶対にわからないよ)

(hiver : わかるよ。僕には考えがあるし、そしたら会えばわかる。すぐにね)

考え?
少しだけビビッと危機感が走った。
冬月くんはものすごく頭がいいって聞いてるから、なんだかまんざらでもなさそうな気がする。
どうしよう、本当に見つかったりして。

ちょっと焦り始めてどうしようどうしよう、と考えを巡らせて、私はひらめいた。
というよりただの思いつきを勢いで送ってしまった。

(lovefoxxx : それなら条件があるの。
私が3/14のホワイトデーまでにlovefoxxxだってわからなかったら探すのやめてね。今までのこと全部なかったことにしよう)

2月は短いし、きっとあっという間にホワイトデーなんてきてしまう。
万が一見つかったとしても否定し続けるから平気。
それに私がlovefoxxxだって確定しても、あっちは寄ってこないはず。
きっと幻滅して「私のことなんて知らない方がいい」 っていう私の言葉は本当だったんだって気付くはず。
だから絶対平気。

(hiver : わかった。3/14までに絶対見つけ出すから。それじゃまた)

“また”って。

私は、はああ、っと大きなため息を吐き出し、ケータイを閉じた。
そして枕に顔をうずめた。

hiverくん、何しようが全部無駄だよ。
残念ながら、lovefoxxxはこの私なんだもん。
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