バレンタインシンデレラ
一方、冬月くんは。

「この子もダメ、と」

教室から廊下に出たところで、友達の槙くんが床まで垂れている名簿に載った一つの名前の上に横線を引いた。

「ゆっきー、これどう考えたってキリなくねぇ?本当にこの『チョコくれた子名簿』ん中に例のメル友いんのかよ」
「多分ね。それにあの大群の中に巻き込まれたって考えたら、ここから探した方が手っ取り早いじゃん」
「なに?こん中にいなかったら他も回るってこと?」
「そういうこと。このペースだったらすぐ終わるよ」
「マジ勘弁~!なんで俺まで…」
「人がもらったチョコ全部食ったの誰だよ」
「なんだよー。どうせ一人じゃ食べきれなかったくせに!」
「だからって全部食うヤツがあるかよ。とにかく次行こ、次」
「ゆっきーマジ鬼!ケチくせーなー!」
「うっさいうっさい」
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