バレンタインシンデレラ
2/21
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あのアンケートが始まってから一週間経った。
その間は毎日昼休みになるとわーわー言う女の子の声が聞こえてたんだけど、今日はそれがなかった。
どうやらチョコをあげた子達全員のもとへ回り終えたみたい。
私はこの一週間、あの作戦には引っかからなかったしもう大丈夫かなあ、なんてほっとしていた。


放課後、私は駅のホームでケータイをいじくりながら電車を待っていた。
実はバレンタインデーの夜にあの宣戦布告メールを受けてからメアドを変えたので、hiverくんからのメールなんてくるはずもなく、だからケータイいじるにしても特にやることがなくて困っていた。
とりあえず、久しぶりにミクシィでもしようかなあ、と思っていたら

「南さん」

声をかけられて後ろを振り返ると、びっくり!
冬月くんがいた。

「この間はどうも」
「あ、いいえ」

まさかこんなところで会うなんて、しかも話しかけられるなんて一体どうして?
もしかしてバレた!?
いやいやそんなわけない、あれでバレる意味がわからない。
私はきっと偶然ここにいたし、この前ちょっと喋ったから話しかけてきただけだろう、と思い直した。

「いつもこの電車?」
「うん、そう。冬月くんも?」
「僕はあっち」

そう言うと冬月くんはホームの反対側を指した。
この駅のホームは一つしかないから一方が上りでもう一方が下り。
冬月くんは上りで、私は下り。

「誰かとメール?」

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