バレンタインシンデレラ
昇降口を出て駅へ向かう道を私達は並んで歩いた。
最初は若干緊張しちゃって、何を話せばいいのやらと悩んでた。
冬月くんが昇降口を出てから言葉少なだったから。
でもしばしの沈黙を破ったのは冬月くんの方だった。

「南さんて」
「うん?」
「付き合ってる人いる?」
「え?いないよ」

いきなりでびっくりした。
いたら一緒に歩いてるわけないのに。
ただの確認かな。

「じゃあ…好きな人は?」
「い、いない」

どうしたの?今日。

「そっか」

冬月くんの表情を見てみるけど、何も読み取れなかった。
もともとそういうのには疎いからダメもとだったけど。

「冬月くんは?いるの?」

とりあえず同じ質問を聞き返してみる。
でもあんまり聞きたくない気もしていた。
冬月くんは間を置いてからうつむきがちに呟いた。

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