バレンタインシンデレラ
「冬月くん!」

一年生の教室が並ぶ階の廊下を歩いていると後ろから声がした。
呼ばれたのは冬月くんだけど、私も振り返る。
そしたらマスクをつけたスラーっと背の高い女の子が駆け寄ってきた。
でも冬月くんの隣に並ぶとマスクを取った。

「おはよ!冬月くん」
「佐藤さん、おはよ」

佐藤澄加!
あまり間近で見たことなかったからびっくりした。
超キレー…。
マスクしてても綺麗だったけど。

佐藤さんも冬月くん並に学内では目立つ人。
生徒会の副会長で、美人で頭もいいっていうまさしくパーフェクトな女の子なんだ。
かなり性格が悪いというのでも有名だけど。

「会うの久しぶりだよね!」
「だね。学校休んでた?」
「そうなの~インフルエンザにかかっちゃって」
「へぇ大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!二週間も寝込んでたからもうすっかり直ったよ!マスクは念のためね。もー私マスク苦手で~すっごい息苦しくて」
「そう。まあでもつけといた方がいいよ。また風邪引かないように」
「そうする。ありがと心配してくれて」
「うん、じゃあ。体気をつけて」「冬月くんもね」
「うん、それじゃ」

私はこの会話の間、2人を遠巻きに見つめる他なくてかなり気まずかった。
佐藤さんなんて私を完全無視してる風だったし。
冬月くんが私を気遣ってか返事もそこそこに会話を早く切り上げてくれてほっとしたけど。
でも、私はショックを受けていた。
だってこの2人、これ以上ないってくらいお似合いに見えたんだもん。
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