バレンタインシンデレラ
「佐藤!」

そんな一人で舞い上がってるイタい佐藤さんのところに夏帆ちゃんがやってくる。

「今日の昼休み、生徒会室に集合って言ってあったでしょ!」
「え~でも私、会長にまだ体調悪いから行けないって言ったんだけど」
「どう見たってピンピンしてんじゃん。いい加減手伝ってよ!ホント人手足りなくて困ってんだからさあこっちは」
「でも本当に体調悪いんだって~」
「嘘ばっかり」
「ホントに!まだ風邪残ってるもん。うつしちゃ悪いじゃん?」
「でも冬月にはうつすんだ?」
「もうやだ!何言ってんの~?」

冬月くんも見かねて、夏帆ちゃんの方に加勢しようとしたけど、夏帆ちゃんは教室の時計を見るとこう言った。

「ああもう!これ以上あんたに時間遣ってらんないわ!時間の無駄!」

冬月くんはえ!もう諦めんの!?ってビックリ&がっかり。
授業時間以外は四六時中佐藤さんがくっついて回るので、いい加減解放されたいと思っていたから。
佐藤さんには生徒会の仕事に行ってほしかった。

「でもサボった分のツケ、絶対払わせるからね。安心すんなよ」
「わっかりましたー」

夏帆ちゃんが退散してしまって冬月くんはガックリ肩を落とした。
佐藤さんはニコニコ。

「よかった~。昼休みくらいはずっと一緒にいたいもんね。やっと会えたんだし」

冬月くんは自分はこの世で一番不運な男なんじゃないかと疑いを持ち始めたのだった。
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