バレンタインシンデレラ
こっちが聞きたいよ。

「わかんない」
「あいつ、もう探すの面倒臭くなっちゃったんじゃないの?だからあんなのとくっついちゃったんじゃない?いつまでたっても本物が出てこないから」

そうなのかな…。

「…それならそれでいいよ。最初から見つかりたくなかったし」
「嘘つけ。本当は見つけてほしいくせに」

自分でもわかってたけど、それを自分以外の人に言われるとグサッとくる。
なんでだろう。
でも夏帆ちゃんは自分の言葉が私にどれほどのダメージを与えたか全くわかっていないみたいで、まくし立てるように続けた。

「冬月のことが好きなんでしょ?でも自分には手の届かない相手だと思い込んでその気持ちを押し隠そうとしてる。違う?」

私は何も言い返せなかった。
夏帆ちゃんはそれを図星ととったらしい。

「ねえ加恋」

夏帆ちゃんは子供をあやす時みたいないつになく優しい声で言った。

「加恋は加恋が思ってるほど大したヤツじゃなくないんだよ?あたし今まで加恋ほど優しくて性格のいい子に会ったことないもん。それに可愛いし。見た目も雰囲気も性格も。だから加恋と冬月は十分お似合いだよ。むしろ冬月にはもったいないくらい。だから自信持って!あの佐藤澄加なんてただの見かけ騙しで中身腐ってんだから。加恋が冬月とくっつくべきだよ。お世辞で言ってんじゃないからね。わかった?」

そこでちょうど始業のチャイムがなって夏帆ちゃんは自分の席へ戻っていった。
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