バレンタインシンデレラ

その日の放課後。

「冬月くん一緒に帰ろ!」

佐藤さんがHR終了直後の一組に入ってくると、冬月くんの席に駆け寄る。
冬月くんはそれを見ると、「また来た…」と心の中で呟いた。
佐藤さんはにこにこ冬月くんに笑いかけ、冬月くんは苦笑いをかえす。

「さあ帰りましょ♪」
「ダーメ!」

いつの間にか背後に忍び寄っていた夏帆ちゃんがそういうと同時に、同行していた金田くんが佐藤さんを肩に担ぎ上げた。
金田くんはアメフト部のルーキーでムキムキマッチョなんです。

「キャーーー!ちょっと何すんの!?」
「年貢の納め時だぞ副会長」
「今までサボった分今日頑張ってもらうから」
「はあ?下ろしてよー!」
「重め～こいつ!とっとと連行しようぜ」
「肩壊さないようにね～」
「下ろしてー!!」

目の前で起こっていることに目を白黒させていた冬月くんだけど、３人が教室から出ていくのを見るとほっとした。

「助かった…」