バレンタインシンデレラ
冬月くんはズボンのポケットから紙を取り出し、広げてみせた。
それはある写真のコピーだった。

佐藤さんが冬月くんのカバンからケータイを取り出し

開いてしばらく眺め

ブレザーのポケットからSDカードを取って

冬月くんのケータイに入れ

しばらくケータイをいじり

SDカードを引っこ抜き

ポケットにしまう

という佐藤さんの一連の行動を撮ったもの。
ご親切にタイトルまでついていた。
『人のケータイを盗み見るS藤S加www』

それを見た佐藤さんの顔はみるみる青ざめていった。
冬月くんはその表情を見て最後のとどめとばかりに畳みかける。

「これ学校の裏ホームページに載ってた。この人間違いなく佐藤さんだよね」

写真では両目の上に黒い線が引かれているけど、佐藤さんであることまるわかり。

「違う」

佐藤さんは苦し紛れに言うけど、冬月くんは容赦しない。

「そんなこと言ったって無駄だよ。認めないとこの写真、学校中にバラ撒くから。マジで。だからいい加減認めなよ」

< 67 / 78 >

この作品をシェア

pagetop