バレンタインシンデレラ
「CSSのライブチケット!!」
「一緒に行こうよ」
「うん!うわ~すごい嬉しい!ずっと行きたかったんだ~」
「そんなに喜んでもらえると、こっちまで嬉しくなっちゃうな」
「本当ありがとう!こんなに嬉しいプレゼント初めて!」

最高のプレゼントをもらってテンション上がりまくり。
きゃ~って大喜びしていたいところだったけど、ふと私はあることを思い出した。

「そういえば、私のチョコ友達が食べちゃったんだよね。私結局何もあげてない」

冬月くんは一瞬きょとんとし、何かを考えているみたいにぐるっと上を仰ぎ見ると、肩をすくめてにこっと笑った。

「じゃあチョコの代わりに」

そう言うと冬月くんは片手で私の頬を包み、さっと身を屈め短くキスをした。
瞬きもできなかったくらい一瞬だったけど、心臓止まるかと思った。
かあっと頬が熱くなって、パニくりながらも嬉しくて、でもかなり短かったからあまり実感沸かなくて残念な気もして、頭の中ぐちゃぐちゃ。

「び、びっくりした…」

変に声がうわずって、恥ずかしくて余計顔が熱い…。
両手を頬に当てて、目をひたすらぱちくりさせていると冬月くんはあはは、と声を立てて笑った。
私も冬月くんを見たら、照れつつもつられて笑っちゃった。
そうしながら、私は冬月くんの笑顔が大好きだって心から思った。

笑った顔を見るってメールだけじゃできないこと。
本当勇気出してみてよかった、って改めて実感した。
まだまだメールではできないことわからないこと、いっぱいあるよね。
これから、こうして一緒に見つけていくんだ。
すっごく楽しみ。
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