愛しい人へ
梨絵は石を投げるのをやめて、
俺のいるほうへ戻ってきた。
そして駅にむかって歩き始めた。
「その人のことね、中2のころから好きだったの。
だけど、あたしバカで、告白できなくて...
卒業まじかに告白したの」
「うん」
「で、その人が塾から帰って来る時間を見計らって
その人の家の前までいった(笑)
超、緊張した!やっぱり帰ろうかなって思ったもん」
「うん」
「で、まぁその人が来て、あたしを見つけて笑ってくれて・・・。
あたしもちゃんと告白できた」
「よかったね。返事どうだったの?」
俺は石を蹴りながら歩いていたので、
しばらく梨絵が返事しないのに気づき
梨絵のほうを見た。
「ん?」俺は首をかしげた。
「今日なんだ・・・」梨絵は顔を赤くして笑った。
「今日? ・・・・・返事?!?」
「うん。」
「え、半年以上も待ってたわけ?」
俺はびっくりしてしまった。
半年も返事を待たせるなんて
男の俺からして、ありえなかった。
それを当たり前のように思ってる梨絵にもびっくりした。
「別にいいんだ。好きならいくらでも待てる。」
「・・・・・・。これから会うの?」
「うん」梨絵はコクリと頷いた。
「へー」なんだか言葉が見つからなかった。
「拓海といると落ち着くから、勇気でるかなって思ったの。」
「ああ。出た?」
「うん。返事聞きにいける」梨絵は微笑んだ。
「頑張れよ。お前、かわいいし、良い奴だからイケるよ。」
「やめてよ(笑)なんか照れるじゃん」梨絵は顔をそむけた。
「バーカ。好きな男以外の言葉に照れんじゃねーよ」
「ふふ。そうだね」