愛しい人へ
「拓海ー!」
一人で帰ろうとしたとき、
梨絵の声がした。
教室から顔をだして手を振っている。
こういう瞬間もかわいいなって思う。
「あたしも帰るー!」
梨絵がそれだけ叫ぶとすぐに顔を引っ込めた。
しばらくして梨絵が玄関から飛び出してきた。
「うふふふふ」
梨絵と腕を絡める。
「明日歌うんだろ?」
「うん(笑)」
「他校も来るから、心配だなー」
「なんでよ?」
「梨絵、かわいいからさ」
俺はそういって梨絵にキスした。
「なんか最近、大胆になってるよ。
ここ道路なのに!」
「ごめんごめん」
俺は梨絵の手をギュッと握った。