愛しい人へ
「おい」 低い声がする。
俺は自分が呼ばれているとは思わなかった。
「おいっ」さっきよりも強い口調
俺はそっと目を開けた。
黒いパーカーにジーンズで短髪のイケメンが立っていた。
俺は表情をかえずにそいつを見つめた。
「お前が拓海か?」
「ああ」
俺は落ち着いて頭を働かせた。
見たことがある顔だった
俺はしばらく男の顔を見つめた。
気づいた瞬間、怒りが湧き起こった。
「なにしに来たんだ?」
「梨絵の彼氏ってのは本当か?」
俺は答えずにそいつを睨み続けた。
「・・・・・悪かったって伝えてくれ」
男は目線を反らし弱々しくそう言った。