愛しい人へ
「陸っ!」
校門を出ようとする陸にようやく追いついた。
振り向いた陸はあたしを見つけて少しだけ目を大きくした。
すぐに無表情になった。
前よりかっこよくなってる・・・
髪も黒に戻ってるし、
少し髪を伸ばしてワックスでトゲトゲにしていた頭は
短髪にしていて、おとなしくなってる。
「あいつ、本当にお前のこと好きなんだな。」
「・・・・・・」
「ああいう奴なら安心だよ・・・・。
いろいろ本当に悪かった・・・。
幸せになれよ」
最後に悲しい笑顔を見せて
陸は前を向いて歩きだした。
「待って!」
陸の腕をギュッとつかんだ。
懐かしい香りがした
涙にくしゃくしゃになった顔で
陸を見上げる。
陸はあたしと目を合わせない。
前を向いたままだった。