愛しい人へ
しばらく動けなかった。
ただ突っ立って泣いていた。
「夏木・・・」
雅人があたしの肩にそっと手を置いた。
「あたし・・・。拓海に会えないよ」
「・・・夏木。」
雅人は「なにもいわなくていいから」
と言ってくれた。
後半は拓海と回るはずだったけど、
それも中止になった。
こんな状況で会えない。
あたしと雅人は校庭につづく階段に座った。
「タケに伝えてもらったから。
夏木はあんまり心配しなくていいから」
「ごめんね・・・」
あたしはそれしかいえなかった。