愛しい人へ



「拓海・・・・。」

タケが心配そうな顔で俺を見つめる



「俺、なんか浮かれてたんだよな・・」


タケの顔を見ずに俺はつぶやいた。



「・・・・・」



「最初は梨絵の痛みも辛さもすべて包んで守りたくて、
 そういうのを全てひっくるめて好きだった。
だけど、だんだん・・・
 俺だけのものにしたくて・・・
梨絵の過去も忘れていたんだよな・・・」





「それは拓海のせいじゃないよ。
 誰だってそうだよ・・・。
 そんぐらい拓海は夏木が好きなんだから・・
 俺だって同じことしちゃってたと思う・・」



タケはさっきと違って、真剣な目をして言ってくれた。
タケは優しい。



俺、今ひとりでいたら・・・どうなってたんだろ・・。






「梨絵は今どこにいんの?」




「雅人と一緒にいる。」



「会えないかな・・」



「今はまだ・・・・。
 ふたりともこんな状況であっても意味ないだろ?」



「梨絵は泣いてるの?」



「お前以上にな・・・。」



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