愛しい人へ
ふと、ケータイが目に入る。
暗い部屋の中で光っている。
ケータイを開くと梨絵から電話が入っていた。
俺は呼吸が苦しくなった。
ドキドキして・・・
掛けなおすことを一瞬ためらってしまった。
俺は深呼吸すると
部屋の電気をつけて 電話をかけなおした。
プルルルルー プルルルルルー
『もしもし・・・』 梨絵の声がした。
『もしもし・・・電話くれたよね?』
『うん』 梨絵の元気のない声が俺には辛かった。
『・・・・』
しばらくの沈黙のあと、梨絵が口を開いた
『今日ごめんね』
嫌な予感がした。
このまま会話を続けるのがとても怖かった。
俺はカラカラの声で答えた。
『・・・それは俺のセリフだよ・・・。
梨絵は何も悪くないって・・』
『拓海、泣いたの・・・?』
梨絵がハッと気づいたらしく、少し声が大きくなった。