愛しい人へ
「クスリが陸を壊したんでしょ?
今の陸が本物でしょ・・・。
あたし本物の陸を守りたい・・・」
「簡単に言うなよ、お前。
それで母ちゃん死んだんだ。
お前が俺のそばにいたら、お前は不幸になるんだぞ」
「なんで決めつけてるの・・・」
「クスリも煙草も悪い奴らからも全部、足洗ったけど・・・
それでも俺、今だって暴れたりしちゃうときあるんだぜ・・・」
「なら、あたしが受け止める」
「馬鹿言うなよ。大切なものができたら、
俺、暴れて壊しちゃうから・・・」
陸は悲しそうに笑う。
「陸っ!」
あたしは陸に抱きついた。
「もう!わかったから・・・。
それ以上、なんも言わないでっ!
何も言わずにあたしの話聞いて・・・。」
「・・・・・」
あたしは陸を強く抱きしめた。
陸は抱きしめ返してこない。
あたしから顔をそむけているのがわかった。