愛しい人へ




ギュッ



陸があたしを強く抱きしめた。


陸が小さく震えながら

あたしを抱きしめるから・・・


何度もあたしの名前呼ぶから・・・



またあたしの目から涙が・・・






「迷惑なわけないじゃんっ!
 俺、お前失ってすっげぇー辛くて
 その時、初めてクスリで自分がおかしくなってたの
 気づいて・・・。
 クスリもすぐに辞める決心して・・・
 でもなかなかやめられなくて
 何度も家で暴れて・・・
 やっとやめられたとき、
 母ちゃんが死んで・・・
 全部、葬式とか終わって・・・、
 それから何日かして無意識に梨絵の学校に向かってて
 でも、拓海に殴られて俺、現実見た気がした。
 俺、死のうと思ったよ。
 何のんきに梨絵に会いに行こうとしてたんだって・・・。
 もう会う資格もないし、俺・・・
 どんだけ梨絵の体と心傷つけたかわかんないし・・・。
 今も俺、間違ってる気がしてる・・・
 梨絵は拓海のもとに戻ったほうがいいって
 すんごい思うのに・・・
 今、梨絵が俺を好きでいてくれることに・・・
 嬉しすぎて・・・この手を離せねぇー・・・・
 本当にごめん」





あたしは嗚咽で何も言えず・・・

ただただ頷いて、ただただ強く抱きしめた。








 
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