愛しい人へ
陸は悲しそうな顔で、あたしから離れた。
あたしは黙って服を着た。
「ごめん・・・。梨絵、もう帰れよ」
優しい声で陸が言った。
「・・・・・」
「俺のこと嫌いになったろ?
お前は俺といないほうがいい。
俺はお前が必要だし大切だけど、
俺といたら幸せになれない・・・だろ?」
陸はあたしを見ない。
俯いて ただそういった。
「あたし、中途半端な気持ちでここに来たんじゃない。」
あたしの言葉に陸がこっちを向いた。
「・・・・・」
「また来るからね。」
あたしはそっと立ち上がり、陸の家を出た。