愛しい人へ





最後の花火が空に消えた





拓海を見ると、涙はなかった




「超、綺麗だったな」


なにもなかったようにとびきりの笑顔を見せる



「そーだね!」


そう笑うしかない自分





「帰るかっ!」


拓海は立ち上がると、「ほいっ」と左手を出した。




「へ・・?」



「帰りは2倍くらい混むんだぜ?」




「あ・・・・」



黙って手を差し出す


その手を拓海の大きな手がつつんでくれる





もう無理なんだよ・・・


ドキドキが止まらない






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