愛しい人へ



「さみぃ~!」


言葉が白い息となっては消える。


芯から冷える寒さだ。





「今夜は満月なんだなー」


俺は空を見上げた



「だな~」


ふたりも見上げる





綺麗だよ、本当に。









3人は近所の小さな神社まで歩いた。



「なんか怖ぇー」


周りの木々が風に吹かれ揺れ、
わずかに葉と葉がカサカサとあたって怖い



「こんな小さくてボロい神社に初詣に来る
 俺らってなんかガキだよな~」


雅人がため息まじりに言う。





「いつか誰かの車で遠くまで行きたいよな~」



俺もそう思った。




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